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第34回MOA美術館札幌児童作品展

開催にあたって

 MOA美術館(公益財団法人岡田茂吉美術文化財団)では、「学習指導要領」に基づき、子どもたちが自然・環境、家庭や社会、他者との関わりの中で、自らの感性をもって絵画や書写に表現することで情操を養い、豊かな心を育てることを目的に、平成元年より「MOA美術館児童作品展」を開催してまいりました。
  本作品展の趣旨に、深いご理解とご賛同を賜りました多くの企業・団体を始め、家庭・学校・地域の皆様に心より厚く御礼申し上げます。
 第34回を迎えた本年は、札幌展として応募総数1816点(絵画749点、書写1022点)の作品が寄せられ、厳正なる審査の結果、「札幌市長賞」をはじめとする優秀作品が決定され、以下の特別賞は10月3日~28日まで当館ギャラリーにて展示をさせていただきます。
 なお、絵画の「札幌市長賞」、書写の「札幌市長賞」「札幌市教育長賞」は、11月下旬にMOA美術館(静岡県熱海市)で開催される全国展の審査に出展されます。
 未来に羽ばたく子どもたちに、夢と希望を与えられる作品展として大きく育てていただけますよう、さらなる皆様のご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。

入賞された作品は以下の通りです。

※無断複製、転載を禁じます


【講評】

【書写の部】審査員:松山和与志・太田和子

1 出品数
 出品数は昨年より73点増えて1,022点でした。新型コロナウイルスの影響を受け、この数年減少していましたが、増加に転じたことは喜ばしいとと思います。

2 出品作品の全体的傾向
 区によって作品の出品数や完成度に違いがありました。これは通う学校から出品する場合と習字教室から出品する場合との違いでもあると思われます。昨年同様、今年も3・4年生を中心に「一字書き」が多く見られました。学校での授業の関係もあるかもしれませんが、展覧会出品作品としては、「二文字以上」の作品を期待します。また、今回特に気になったことは、学年・名前がサインペンで書かれた作品が多くあったことです。学年は〇年、名前は姓名を小筆を用いて丁寧に書く習慣をつけたいものです。サインペンで乱暴に姓名が書かれていたために残念ながら入賞できなかった作品もありました。

3 特別賞を受けた作品の傾向
 受賞した作品は、始筆(線の入り方)、終筆(線の止め方)、ハネや払いなど毛筆書写の基本的な筆づかいがしっかりしていて、文字の造形や配置などのバランスが良く、生き生きとしていて、太い・細いなどのメリハリもあり、強く印象に残りました。
札幌市長賞には、源間梨奈さん(6年)の「建築」が選ばれました。縦長の2文字をバランス良く半紙に収めました。しっかりとした筆づかいで、自信を持って丁寧にそしてリズミカルに書ききった様子が伺え、明るく爽やかな作品となりました。

4 優れた作品を書くために心がけたいこと
① 文字の中心線を意識しましょう。
② 文字の横線の右上がりの度合いをほぼ揃えましょう。
③ 毛筆の線の特徴の一つに、線が生き生きと見えるかどうかがあります。
筆を運ぶ際は、ある程度の勢いをもって書きましょう。
④ 名前はフルネームで小筆を使用して丁寧に書きましょう。

今夏は、北海道とは思えぬ暑さが続き、子供たちも指導される先生も大変なご苦労があったことと思います。今後は、出品数もコロナ以前の状態に戻り、のびのびとした良い作品にたくさん出合えることを楽しみにしております。


【絵画の部】 審査員:さとう綾子・ 塚崎聖子

1 出品数 794点 (昨年と比べ245点減)

2 審査で感じたこと
 出品作品は、小学校での各学年による課題で出されたものが多いため、テーマが同じで、描き方も似ている傾向が強かったです。その中でも、優れた作品というものは、個性的で引き寄せる魅力や存在感があるので、大変多くの作品が並んでいても、すぐ目に飛び込んできます。

 絵のテーマは、自分自身が素敵だなと感動したり、これを絵にしたいと強く心を動かされたものを描くのが大切だと思います。
そして、自分の思いが観る人にしっかり伝わるような表現をする為には、どんな工夫が必要なのかを考えることが重要です。時間をかけ、思いを込めて丁寧に制作した作品は、やはり人の心を動かす力があると思いました。

 子どもたちにそれぞれの個性があるように、作品も同じくそれぞれの個性に満ち溢れ、エネルギーが会場を埋め尽くしていました。それはまるで、子どもたちの発する声が画面から聞こえてくるようで、私は毎年この審査の日がとっても楽しみです。

3 優れた作品を描くために心かげたいこと
 低学年から高学年までの発達段階で、違いはもちろんありますが、
①作品のテーマは、自分が最も描きたいと思うものを選ぶ 
②画面の中の構図を考える 
③使う色や塗り方、重ね方、表現方法を工夫する 
④思いを込めて丁寧に描く 
⑤自分の表現したいことが出来たか、描き足りない所はないか、全体的に見直しチェックする。

4 最後に
 絵は、子どもの心の状態がそのまま色やカタチに現れるものです。子どもの描いたものに関心を持って接し、思ったことや感じたことをお互いに話すことは、とても良い親子のコニュニケーションに繋がると思います。
 又、子どもというものは、親に認められたり、褒められることが何より嬉しいものです。普段から良いところをいっぱい見つけて、子どもが元気になる言葉、がんばるパワーに繋がるような言葉を、たくさん伝えてあげて欲しいと思います。自分や自分の表現に自信を持ち、一生記憶に残る宝物になるはずです。


本年もたくさんのご応募、ご協力を賜りありがとうございました。
次代を担う子どもたちの創作活動を奨励し、「生命を尊ぶ心」「豊かな情操と健全な人間形成」を願い、今後とも多くの皆さまのお力添えを賜りながら、さらなる充実を図ってまいりたいと願っております。

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