アートホール・ブログ
9.202024
第35回MOA美術館児童作品展
開催にあたって
MOA美術館(公益財団法人岡田茂吉美術文化財団)では、「学習指導要領」に基づき、子どもたちが自
然・環境、家庭や社会、他者との関わりの中で、自らの感性をもって絵画や書写に表現することで情操を養い、豊かな心を育てることを目的に、平成元年より「MOA美術館児童作品展」を開催してまいりました。
本作品展の趣旨に、深いご理解とご賛同を賜りました多くの企業・団体を始め、家庭・学校・地域の皆様に心より厚く御礼申し上げます。
本児童作品展は、全国 2 万人を超える美育ボランティアによって支えられ、さまざまな個人、団体と協力しながら、医療機関、福祉施設等での巡回展示や、年間を通じた美育活動等、学校・家庭・地域が連携し、社会全体で子どもたちを育てていくことを大切にしております。
そして、それらの美育活動を通して、地域社会の絆を深め、心身ともに健康な活力のあるコミュニティづくり、支え合う共助社会づくりに資するよう、教育行政や自治体の協力を得ながら取り組んでおります。
次代を担う子どもたちの創作活動を奨励し、「生命を尊ぶ心」「豊かな情操と健全な人間形成」を願い、今後とも多くの皆さまのお力添えを賜りながら、さらなる充実を図ってまいりたいと願っております。
第 35 回を迎えた本年は、札幌展として応募総数1,624点(絵画 660 点・書写 964 点)の作品が寄せられ、過日、厳正なる審査の結果、「札幌市長賞」を始めとする優秀作品が決定し、10月1日~26日まで、MOAアートホール北海道 1 階ギャラリーで展示させていただきます。
尚、絵画の部「札幌市長賞」、書写の部「札幌市長賞」は、11 月下旬にMOA美術館で開催される全国展の審査に出展し、その審査にて入選以上の作品に選ばれた場合、来年 1~2 月MOA美術館に展示される予定になっております。
未来に羽ばたく子どもたちに、夢と希望を与えられる作品展として大きく育てていただけますよう、さらなる皆様のご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。
MOA美術館・札幌児童作品展実行委員会
入賞された作品は以下の通りです。
※無断複製、転載を禁じます
【講評】
【書写の部】
審査員:松山朴羊、太田欽舟
1.出品数
出品点数は、昨年より58点減って964点でした。新型コロナウィルスの影響を受け、この数年減少傾向にあります。早くコロナ禍以前の状況に戻ることを願っております。
2.審査方法の変更
今年より、審査方法が少し変更になりました。以前は、各区ごとに審査をしておりましたが、今年からは区にかかわりなく学年ごとの審査となりました。以前は、各区の習熟度の違いを考慮しながらの審査でしたが、今回はそれを気にせずに進めることができました。より公平な審査になったのではと思います。
3.特別賞を受けた作品の傾向
受賞した作品は、始筆(線の入り方)、終筆(線の止め方)、ハネや払いなど毛筆書写の基本的な筆づかいがしっかりしていて、文字の造形や配置などのバランスが良く、生き生きとしていて太い・細いなどのメリハリもあり、強く印象に残りました。
札幌市長賞には、横井 篤斗さん(一年生)の「ゆめ」が選ばれました。
半紙いっぱいに一年生らしく元気に力強く書ききっています。基本的な筆づかいも見事で、線質も温かく、深く、伸びやかです。
4.優れた作品を書くために心がけたいこと
⑴ 文字の中心線を意識しましょう。二文字の作品の場合、それぞれの中心線をそろえるようにしましょう。
⑵ 文字の横線の右上がりの度合いをほぼ揃えましょう。筆を運ぶ際は、いきいきとある程度の勢いをもって書きましょう。
⑶ 名前はフルネームで小筆を使用して丁寧に書きましょう。
⑷ 本来なら入賞できる良い作品であったのに、名前がフェルトペンで乱雑に書かれていたために、残念ながら入賞を逃した作品が多くありました。 名前も作品の一部であることを意識して
①丁寧に心を込めて ②適切な位置に ③程よい文字の大きさで書くように心がけましょう。
【絵画の部】
審査員: 塚崎聖子 さとう綾子
1.出品数 660点 (昨年と比べ134点減)
2.作品から感じたこと
今年の審査会場は、ボランティアさんの頑張りで学年毎に部屋を変えて並べられ、見やすい会場となっており、審査もスムーズに進みました。
各部屋に並べられた作品群からは、それぞれにキラキラとしたメッセージが発せられていました。
低学年の部屋には、この年齢でしか表現できない自由でおおらかな作品が並び、子供たちの素直な感性が伝わってきました。そして学年が上がるにつれて、独自のイメージや発想、自然に対する観察力、卓越した色使いなどが見られ、それぞれが成長する中で豊かな表現をしてくれていることを嬉しく感じました。
子供たちは学校での生活や、家族、地域、友達との関わり、そして自然との関わりの中で様々な経験をして成長し、そこから感じ取られたことが作品の中に反映されています。
これからも子供たちが多くの経験を積み、楽しさの中から好きなことや興味のあることをいっぱい増やして、それが作品としての表現に繋がってくれたらと心から祈っております。
3.札幌市長賞、札幌教育長賞の作品について
【札幌市長賞】 髙橋 蓮さん (福移学園6年) 『動物園のペリカン』
ペリカンの動きがよく観察され伸びやかな筆さばきで表現されています。
じっくりと取り組まれ、隅々まで気持ちが行き渡った作品で、作者の思いが十分に伝わってきます。
【札幌教育長賞】 下田 千尋さん(栄南小学校3年) 『ヘラクレスオオカブト』
ヘラクレスオオカブトが大きく伸び伸びと描かれており、作者の感動が伝わってきます。
色彩も豊かでこなれており、背景の色使いにも工夫がみられます。
4.作品づくりで心掛けたいこと
自分が本当に描きたいこと感動したことを表現できた作品は、人の心に響きます。
テーマが決まったら、構図を考え、自分なりの表現方法や色の使い方を工夫しながら、思いを込めて描いていきましょう。
また、家族が作品に関心を持ってくれること、褒めてくれることも、子供にとっては励みになるはずです。
子供とのコミュニケーションの場で、作品について触れてみましょう。
本年もたくさんのご応募、ご協力を賜りありがとうございました。
次代を担う子どもたちの創作活動を奨励し、「生命を尊ぶ心」「豊かな情操と健全な人間形成」を願い、今後とも多くの皆さまのお力添えを賜りながら、さらなる充実を図ってまいりたいと願っております。
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